ルガーp08

概要
ヒューゴ・ボーチャードが開発した大型拳銃ボーチャードピストルを原型にゲオルグ・ルガーが改良・開発したもので、自動拳銃黎明期の成功作の一つであり、支点で二つに曲がって伸縮する“トグルアクション”式機構が大きな特徴である。その独特な機構の動きから、尺取虫の愛称で呼ばれた。

口径は9 mm、装弾数はシングルカラム・マガジンによる8+1発である。

使用弾薬は9mm×19パラベラム弾であり、20世紀から21世紀にかけて自動拳銃用の弾丸として広く使われているこの拳銃用弾薬は、元来はこの銃のために開発された。「パラベラム」とは、ラテン語の「Si vis pacem, para bellum(「平和を欲するなら戦争に備えよ」という箴言)」から採られており、「戦争に備える」の意味で、当時DWM社が商標化した。

なおアメリカの大手銃器メーカーであるスターム・ルガー(Ruger)社とは、日本語のカナ表記「ルガー」が偶然一致するだけであり、ゲオルグ・ルガー技師や製品を含め、両者は無関係である。
名称
口径からとって9ミリルガーとも呼ばれる。ヨーロッパ諸国ではパラベラムピストルとも呼ばれ、米国(及び日本)では単純にルガーと呼ばれる。

「ルガーP08」とはアメリカ合衆国でのパラベラム拳銃輸入元となった商社のストーガー社が、本来の名前である「パラベラム・ピストーレ」では市場においてインパクトが無いということで、ルガーの名を勝手に冠し、ドイツ軍の制式名「Pistole 08(ピストーレ ヌル アハト)」を略して付けたものである。しかし、「フォルクスワーゲン・タイプ1」をして「ビートル」と通称させた結果、後年にはフォルクスワーゲン社に名称が逆採用されたような風潮と同様、「ルガーP08」も、最早正式名称と言って良いほどに浸透している。